2016年11月17日に締結した議定書に基づき、石巻市・温州市友好都市締結35周年記念事業の一環として、両市間の友好協力を発展させる目的で9月26日から30日まで亀山紘市長を団長とする総勢19名で石巻市温州友好訪問団の一員として訪問してきました。その訪問に参加しての感想を報告します。
石巻地区日中友好協会会長 白井 省三 記
【所感】
中国には2015年10月以来4年ぶりの訪問。浙江省の省都・杭州市も温州市も今なお広域で高層住宅、商業ビル建設風景が随所で見られ、大連など中国東北部が停滞していると聞くのに、この地域の成長は持続している様子。この地域を見ても中国が都市化と共に労働市場から消費市場に変貌していく姿が見える。温州市長会見でも友好都市締結35年間に温州市の面積は町村合併で10倍に、GDPは200倍に、財政収入は300倍に成長したと威勢の良い冒頭挨拶。石巻市は町村合併で面積は増えたものの大震災の影響も受けて人口減少は今なお続き、震災復興予算が切れた先の見通しは暗くこの明暗が際立つ。温州市長は交流は友情を発展、協力は経済を発展させる、産業協力、文化・芸術協力・スポーツ・青少年交流で石巻市との交流・協力を発展させたいと語り石巻市に絶好の機会が与えられた。この機会を是非とも活かして欲しい。
私は中国・大連、北京で11年間駐在勤務したとは言え温州市は初めての訪問。石巻市・温州市友好都市締結35年の歴史は詳しくは知らない。今回の訪問はその知らなかったことの多くのことを現地で目にし耳にして学ばさせて頂いた。温州市には、亀山市長は4回訪問、石巻・温州友好協会監事の鈴木正敏氏は友好都市となった当初から温州市を頻繁に訪問して尽力された、正に井戸を掘った人。温州市から多くの水産加工研修生を迎えた大興水産元工場長の和田佳一氏ほか歴代の多くの方々のご努力が、この35年間の温州市との友好の歴史に詰まっていることを肌身で感じることが出来た。
私は1949年の中国建国の年に生まれ、中国経済が大飛躍する21世紀幕開けの2000年12月から2012年3月まで中国・大連、北京に駐在して中国の多くの方々にお世話になった。このご縁とご恩に感謝する想いを抱きつつ、これからも両国の民間交流に微力ながらも務めていきたい。改めてそう決意する今回の訪問だった。
【第1日目 9月26日】
石巻駅前を定刻の午前6時に仙台空港に向け出発。しかし仙台空港で仙台⇒成田ANA小型機の機体点検作業が手間取り45分遅れて成田に到着。この影響も受けANA成田⇒杭州は30分遅れて離陸。しかし、これを挽回し杭州空港には定刻の12時50分到着。杭州の空はスモッグで覆われ青空が見えない。もうすぐ10月というのにまだ蒸し暑い。空港から直接、観光名所の西湖と周辺の呉山城隍閣を視察した後、ホテル(浙江国際大飯店)で一服し浙江省人民對外友好協会主催の夕食会に招かれ最高のお料理と本場の紹興酒で陳艶勤専職副会長ほかの熱烈歓迎を受けた。浙江省の仲立ちで石巻・温州友好都市35年を迎えられたことに改めて感謝。
【第2日目 9月27日】
ホテルを定刻7時15分に出発し杭州東駅に向かう。高速鉄道8時29分発杭州東⇒温州南で温州へ。高速鉄道とは言え支線なので最高200キロ位のスピードか?。温州南駅で温州マラソン・バトミントン協会の皆さんの出迎えを受け、同協会主催の昼食会場の欄立方大酒店に向かった。昼食会とは言え本場の美味しい紹興酒も振る舞われて熱烈歓迎を受けた。マラソン・バトミントンなど市民交流の賜物と感謝。
昼食後にホテル(シャングリラホテル)で一服して、石巻市からも出展した浙江(温州)輸入消費品博覧会を見学。その後に楊府山公園で35周年記念に開催される石巻市写真展開幕式に立ち合い見学。
夜は宿泊のシャングリラホテルで開催された温州・石巻友好都市締結35周年歓迎晩餐会に出席。会場には地元の小学生が奏でる二胡など華やか賑やかな中国楽器の演奏で迎えられた。温州市は人大常委会・葛益平主任、石巻市は亀山紘市長から35周年記念の挨拶があり、その後に多種多様の演出と美味しい温州料理に赤ワインなどが振る舞われ熱烈歓迎を受けた。私のテーブルには孔子の74代目子孫と自任する孔子釧さんが着席した。孔子の故郷の山東省曲阜に旅行して孔子の子孫だという人に何人か会ったが、ここ温州でもかと流石に驚いた。明日9月28日は孔子の生誕2570年のお祝い会が催されそこで挨拶されると聞いた。ネットで調べ確かに明日は孔子の誕生日とある。
晩餐会では石巻市・温州市友好都市締結35周年を築いてきた両市の関係者の層の深さと広さを感じることが出来た。
【第3日目 9月28日】
ホテルを定刻の9時にバスで出発して温州市から北に1時間の永嘉県に向かった。到着した楠渓江で竹で作られた筏船に5人づつ乗船して川下り。足元は水かさがある。鵜飼の訓練風景も見学して永嘉県政府の昼食会に招かれ歓待を受けた。川下りした河川は今年の台風・豪雨で氾濫し30人余の犠牲者が発生した場所。川の両岸の竹林、雑木はなぎ倒されたまま。上流にはダムなどの豪雨対策の施設もないと聞いた。
昼食後、温州大学に立ち寄り、髪を材料にした刺繍芸術、温州の歴史を知る温州民族博物館などを視察。温州市政府庁舎、図書館、オペラハウスなどをバスから視察してホテルに戻った。
午後5時30分からはホテル内で温州市、姚高員市長と亀山紘市長の会談があり殷副市長ほかも同席。姚高員市長からは両市の友好都市35年を分析してこの成果を高く評価され、今後の石巻市との幅広い交流と協力の具体的政策が示された。昨日視察した輸入消費品博覧会の来年の開催時には石巻産のコメなどの物産品を展示、試食できる可能性も出てきた。その熱い会談の後、温州市長主催の歓迎レセプションに招かれ短い時間だったが大歓待を受けた。
午後8時30分からはホテル近くの河川・瓯江の遊覧船に乗船して夜景を楽しんだ。両岸の高層建築物のLED照明も美しいが、対岸の山に映し出すプロジェクションマッピング・レーザー、それに音楽を加えた演出、スケールの大きさに感動した。先日石巻を訪問された温州市政府鄭煥東副秘書長、金素文化観光局市場開拓処処長も乗船して訪問団を歓迎してくれた。
【第4日目 9月29日】
ホテルを定刻7時に出発して温州空港へ。温州空港⇒上海浦東空港で上海に向かい黄浦江に浮かぶ船上で昼食。昼食後、高さ632メートルの上海タワー展望台から上海外灘の景観を見学。その後、外灘から宿泊ホテル(新錦江大酒店)に向かう途上で中国寺院の上海玉佛禅寺にも立ち寄り道中の安全を祈願した。ホテルで小休憩した後、豫園商店街を見学して上海中華料理店「緑波廊」での夕食会。訪問団最後の晩餐となった。
夕食会後には上海商城劇院で雑技を鑑賞。仕掛け道具は大きくないが飛びぬけた高度の技、素晴らしい演技には感動。
今回の旅行には荷物になるがパソコンを携帯した。現在の中国のホテルの通信環境を知ることとホテルでの暇つぶし目的だ。杭州、温州、上海の3カ所のホテルに宿泊して、wi-fiの接続方法はそれぞれ異なったが結果は難なく接続できた。テレビ受信は杭州、温州のホテルはNHKなど日本の放送の受信は出来ない。上海のホテルのみNHKが受信出来た。ただ、受信が出来たNHKニュースも昨晩は国慶節に関連して習近平体制を懸念する場面で映像が中断、今朝は香港問題のニュース場面で数回映像が中断した。中国当局の検閲で映像が中断する不具合は今も変わっていない。
【第5日目 9月30日】
定刻7時40分にホテルを出発しバスで上海浦東空港に向かう。上海浦東空港ではタラップは定刻10時20分に離れたが離陸待ちで渋滞し15分遅れのANAで成田空港に向け離陸。成田には早く到着したが手荷物受取に手間取り入国手続き後は予定通りの時間。その後国内便乗り場に移り成田⇒仙台便で午後4時成田を離陸。飛行機は行きと同じ74人乗り小型機だが行きはプロペラ機だったが、帰りはジェット機でトラブルもなく安堵。機内誌の表紙とその裏ページに東松島市「おのくん」グッズの機内販売が掲載されていた。航空会社「IBEX」とのコラボと紹介されている。仙台には定刻より早く到着し、バスで石巻に向かった。石巻には午後6時40分に無事全員元気に着いた。
石巻到着寸前の帰路で参加者全員の一言挨拶があり、今回の石巻市温州友好訪問団の成果を具体的に実らせるためにも今回の温州友好訪問団メンバーが改めて集合したい、この活動を継続して応援したいとの話もあり賛意を示したところ。
何はともあれ、天気にも恵まれ、訪問団の全員が元気に石巻に帰ってきたことに感謝。謝謝。
【参考】
石巻市の総面積 555K㎡
温州市の総面積 11,784K㎡ (石巻市の21倍)
石巻市の総人口 14万人
温州市の総人口 925万人(石巻市の66倍)